例えば、年収600とか700、800万円未満の男性会社員が、家族で住むマンションを買った場合、その多くが銀行等からの住宅ローンを組んで保有します。
今話題の神奈川県川崎市武蔵小杉駅前の分譲高層マンション。
その販売価格が4000から6000万円です。頭金を1000万円入れて、残りの3000、4000万円の残高を30年間通して返済して行くことになります。ただし、残高3000、4000万円というのは、あくまで負債の元金であり、これに30年分の利息も別に返さないといけません。
この分譲マンションを多くの消費者は、変動金利1%台で返済して行きます。これは、将来において自己破産予備軍になるでしょう。また、ボーナス払いして行く契約している消費者も、自己破産予備軍になることでしょう。
更に、妻の働いている収入をあてにして住宅ローンを返済しているのも、将来において自己破産予備軍になることでしょう。
この25年くらい前は、同じ神奈川県青葉台の一軒家購入する人たちの生活が話題になりましたが、今は変化し武蔵小杉の分譲高層マンションに暮らす30歳、40歳、50歳代前半までの家族が話題になっています。
渋谷にも東京駅にも、20分、横浜にも20分で行ける便利な立地と眺めの良い免震構造の高層マンション、そして物価が安くスーパーもたくさんあるという点は、誰がみても興味があるところです。
ただし、ここで注意しないといけないのが、それら利点が揃っていても、リスクはどこにもあるという視点です。
例えば、銀行から変動金利でお金を借りていると物価が上がれば、変動金利は4%にもなります。その時固定金利に変更しても、その時に金利は変動金利よりも高く5.5%以上に銀行はリスクをとって設定してきます。
妻も仕事をしているからといって、夫と合わせた所得から、思い切った大きな額のマンションや一軒家を購入すると、いつまでも妻は健康ではありませんし、夫もそうですが、いつまで安心してその職場に勤められるかもわからない社会です。どちらかが、仕事を失ったら、住宅ローンも返せなくなるでしょう。
また、川崎市武蔵小杉という立地は、元工場跡地です。大規模な工場があった地域には、海や川があることが多いです。武蔵小杉で言うと、多摩川があります。この多摩川を境に大地震が発生する可能性も十分あり得ます。
免震構造の高層マンションといえども、震度8、9、10の強い地震には対応しません。震度8の場合、免震構造の高層マンションは、外と内壁のひび割れ、また地割れからの段差、水道管などの破損は必ずダメージがあるでしょうし、震度9の場合、免震構造の高層マンションも傾くことでしょう。
あるいは倒壊です。地震保険の保険金も、その時の崩壊するマンションは、百、二百の桁ではなく、広域の被害ですから、地震保険金は支払われないと見るべきです。支払う金に底がつき損害保険会社も破綻することでしょう。生命保険会社も同じです。
高額なマンションや一戸建てを、生活資金ギリギリでとか、ローン残高3000万円以上残して暮らして行くことは、将来において、かなり返済不能となるリスクがあると私は思います。
言い忘れましたが、住宅ローンの返済を夫婦二人の収入で返済していても、いつまでの夫婦円満の家庭とは限りません。かなり離婚する家庭も多いという事もあります。これも返済が滞る一つのリスクといえます。
例えば、住宅ローンを組む場合、年収700万、800万円の家庭でも、ボーナス併用は絶対せず、固定金利30年、かつ毎月の返済額は、10万円以内にすることです。これが出来ないようであれば、その物件は、購入しないことが賢明でしょう。注、マンションは、このほかの返済に管理費、修繕積立金もあります。
武蔵小杉の免震構造の高層マンションを、仮に5000万円で購入して、10年後、6000万円の価値にはなっていません。10年後は、4000万円になっていることを謙虚に考えて行かなければなりません。
堀江モンは、何百億円も資産がありながら、賃貸マンション住まいだったのでしょう。
よく考えて見てください。
そういうことも鑑みて、賢い選択。かなり重要になるどこの物件を求めるか。また、それを賢く返済して行くか。
目先の便利さとかで物件を選ぶのではなく、心の余裕のある返し方をして行きましょう。
これは、生命保険や医療保険、自動車保険を求める子極めと同じです。
消費生活コンサルタント
経済評論家
野中幸市