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日生、優秀代理店に五輪観戦ツアー 販売奨励策が波紋

様々な生命保険会社の商品を比べて買うことができる「乗り合い代理店」。生保会社は販路を広げようと関係強化に力を入れるが、代理店に対する過剰な販売奨励策をなくすことが業界全体の課題だ。行き過ぎた奨励策は顧客の希望や必要性を無視した商品販売の横行につながるためだ。金融庁も監視を強めているなか、問題の根深さが改めて表面化している。

「東京2020オリンピック観戦ツアー」。日本生命保険が6月中旬、成績優秀な代理店の表彰パーティーで示した案内が生保業界に波紋を広げた。東京五輪のゴールドパートナーである同社が、開会式や男子陸上100メートル決勝といった人気チケットを優秀な代理店に優先提供する内容だ。

参加代理店によると、抽選はあるが、参加した代理店130人分すべてに用意できるとの説明があったという。チケットによって代理店の自己負担が一部生じ、単純な報酬とはいえないが、ある参加者は「代理店マーケットを重視する日生の本気度を感じた」と話す。

保険業界では過剰な販売促進策により、代理店が顧客に必要な商品ではなく、会社側が売りたい商品の販売に傾注することが長く問題となってきた。金融庁は16年に改正保険業法を施行し、代理店に顧客の意向に沿った商品の提案などを義務付けた。生命保険協会もガイドラインで「表彰・研修で社会通念からみて過度と考えられるもの」といった行為を自主規制している。それでも慣行はなかなか改まらない。

日本生命による代理店向け五輪ツアーは参加者に一部自己負担も生じる

日本生命による代理店向け五輪ツアーは参加者に一部自己負担も生じる
「顧客の意向把握や比較推奨をゆがめることがないようにすることが必要だ」。金融庁の遠藤俊英長官は2月、生保各社の首脳との意見交換会で苦言を呈した。18年10月からのヒアリングで、複数の生保で過剰報酬の実態がわかったためだ。

チューリッヒ生命による沖縄研修、東京海上日動あんしん生命保険による北海道研修、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険によるリゾートギフト券の提供……。あの手この手の奨励策が続き、生命保険協会は5月、各社に適切な対応を改めて呼びかけた。

今回、日生に注目が集まったのは、同社が他社の行き過ぎを指摘しては撤回させてきた協会の幹事会社の立場だからだ。「比較推奨をゆがめないと判断していたが、社内で議論し、見直すことにした」。日生は抽選倍率を一般販売並に厳しくするといった修正を検討すると説明している。
生命保険文化センターの18年調査によると、生保の新契約市場に占める自前の営業職員の比率は53.7%と6年前に比べて15ポイント低下する一方、代理店は17.8%と11ポイント高まった。若い世代が保険ショップに流れている。

日生は今春に保険ショップ向け商品の専門子会社を設け、6月に第1弾商品を投入。「魅力的な商品と日生本体が築いた代理店ネットワークで挽回したい」(清水博社長)と意気込んでいた。顧客本位の原則に冷静に立ち返ることが生保業界に求められている。
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